荒御魂と和御魂


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神様の霊魂が持つ2つの側面を表します。

特に伊勢神宮の内宮と外宮では、

天照大御神(あまてらすのおおみかみ)、豊受大御神(とようけのおおみかみ)の和御魂(にぎみたま)と荒御魂(あらみたま)

が別々に祀られております。

神話に出てくる神様も、状況によっては性格がまったく異なる様に描写されていたりします。

例えば天照大御神では、弟神である『須佐之男神(すさのおのかみ)』が神の世界である『高天原(たかまのはら)』へ立ち寄った際、てっきり攻めて来たものと思い込み、武装して迎え討とうとした事がありました。

しかし、誤解がとけた後は弟神に少し遠慮したり、横暴な態度にすねて岩戸へ隠れてしまったりします。

ところが、孫である邇邇芸命(ににぎのみこと)に三種の神器や稲穂を渡して、「美しい国を作って来る様に」と神勅を下されました。

神々しい一面を出されております。

また太陽神でありますから、すべての生物に未知なるエネルギーを与えてくれる優しくて偉大なる神様であります。

私たちも、暖かく優しい陽射しを受けて心が穏やかになったりと、いつも恩恵を受けているわけです。

 

須佐之男神(すさのおのかみ)では、父神である『伊邪那岐神(いざなぎのかみ)』から海原を治めよと命ずられるも、だだをこねて大泣きしたりします。

しかし、姉神である天照大御神が治める高天原(たかまのはら)へ立ち寄った際は、好き勝手暴れました。

最終的には、神々によって高天原(たかまのはら)から追い出されるわけですが、地上へ降りた際は、妖怪『八岐大蛇(やまたのおろち)』を退治して、人々を救い英雄となっています。

 

私たちも、二面性を持って生活していたりします。

心は生き物であり、言葉一つで大きく心境が変化し、置かれている状況に対し、善くも悪くもさせます。

 

では、『荒御魂(あらみたま)』と『和御魂(にぎみたま)』についてご説明します。

 

荒御魂(あらみたま)

荒ぶる魂。「神の祟り」は、この荒御魂(あらみたま)の一面を表しています。

疫病や天変地異も、荒御魂(あらみたま)による怒りなどが影響していると言えるでしょう。

儀式や祭り等で神様にお供え物をするのは、怒りを鎮める意味合いもあると思われます。

神の怒りは、天災をも呼び起こすわけですから、人間の力ではどうすることも出来ません。

太古の昔より、人々がそう信じて神様と接してきました。

全国で行われる祭りも、ルーツは豊作願いであったり、神様と直接絡んでおります。

現在に至っても、昔の人々が行ってきた儀式を私たちは受け継いでいるわけです。

また、新しい事象や物体を生み出すエネルギーとして、大いに力を与えてくれる存在でもあります。

 

和御魂(にぎみたま)

穏やかな魂。「神の加護」は、まさしく和御魂(にぎみたま)の表れでしょう。

天候の恵であったり、幸運をもたらし、人々を助けてくれる神のやさしい力です。

和魂には、さらに2つに分けて表現される事もあります。

 

幸魂(さきみたま)

運によって人に幸せを与える。農作物などの収穫をもたらす。

奇魂(くしみたま)

奇跡によって幸せを与える。

 

幸魂(さきみたま)は、『豊』

奇魂(くしみたま)は、『櫛』

として、神名や神社名に用いられたりもします。

 

和御魂(にぎみたま)については、以下の様なエピソードがあります。

神話の時代、大国主神(おおくにぬしのかみ)が国造りにおいて一人悩まれていた時、海原を照らして神が現れました。その神は大国主神(おおくにぬしのかみ)に言葉をかけます。

「我を大和の方へ祀れば力を貸す。」

大国主神(おおくにぬしのかみ)は尋ねます。

「あなた様は何者でしょうか?」

するとその神はこう答えました。

「そなたの幸魂(さきみたま)奇魂(くしみたま)である。」

 

言うがままに大和にある三輪山へ丁重に祀り、大国主神(おおくにぬしのかみ)は、出雲で素晴らしい国を造る事に成功します。

つまり大国主神が困っている時に、自らの和御魂(にぎみたま)が現れて、運をもたらしてくれたのです。

 

大国主神が自らの和御魂(にぎみたま)を祀った日本最古の神社ともいわれる『大神神社(おおみわじんじゃ)』。

大神神社(おおみわじんじゃ)のご神体は、三輪山そのものでありまして、祭神は『大物主神(おおものぬしのかみ)』。名前は異なりますが、大国主神(おおくにぬしのかみ)の和御魂(にぎみたま)であります。

 

 一霊四魂

和御魂(にぎみたま)は、幸魂(さきみたま)と奇魂(くしみたま)の2つから成り立っているという事でしたが、江戸時代にはそこから新しい考え方が出てきました。

『荒魂』、『和魂』、『幸魂』、『奇魂』の4つのエネルギーが動き、それをうまくコントロールする事で魂が良い状態になるというものです。

『一霊四魂(いちれいしこん)』といいます。

 

直魂

『直魂(なおひ)』は、主体となる魂です。荒魂、和魂、幸魂、奇魂をコントロールして、魂を良い状態に保つ様にします。

 

荒魂

『勇』の機能をもちあわせています。前に進む力や耐え忍びコツコツやっていく力です。

行動力や外向性の強い人に持つ面です。

和魂

『親』の機能をもちあわせています。親しみ交わる力。

平和や調和を望み親和力の強い人に持つ面です。

幸魂

『愛』の機能をもちあわせています。人を愛し育てる力。

思いやりがあり、相互理解を計ろうとする人に持つ面です。

奇魂

『智』の機能をもちあわせています。観察、分析、理解から構成される力。

真理を求めて探求する人に持つ面です。

 

 

人間の魂にもその様な機能がある様に、神の御魂(みたま)も荒御魂、和御魂という大きな2つの側面があります。

和魂には感謝の気持ち、荒魂には個人的なお願いと相性が良いと言われたりします。

 

決して明確なルールはありませんが、御魂の性質によって手を合わせる時の心のあり方を意識してみても良いかもしれませんね。


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